2023年、パブリッシャーと広告主が、広告収益改善のためにユーザー体験に注目する理由
不安定な経済情勢と変化の激しいデジタル環境の中で、パブリッシャーも広告主も、2023年の成長をいかに実現させ世の中に示して行くかを模索しています。
景気が後退するという予測に伴って、ブランド企業の予算が削減され、広告主はエンゲージメントを重視し、低予算でも最大限の成果をあげるべく、動画広告に軸足を移しています。一方パブリッシャーは、広告収益の減少に悩まされており、チャンスというよりも半ば必要に迫られる対応策として、収益の多様化に重点を置いています。
ユーザー体験を向上させ、ユーザーを維持していくために、オンラインパブリッシャーは、クッキーを使わないデータ管理やウェブバイタルといった重要な分野への投資も拡大しています。こうした活動はすべて、パートナーシップ(およびキャンペーン)を成功に導くものと捉え、ユーザー体験が注目されています。
Outbrain でGlobal Publishing 領域のVPを務めるステファニー・ヒモフは、「デジタルメディア業界は適応力が高く、そして変化のペースも速い。常に生き残るための手段を探している状態にあります」と述べています。「そしてこれは、広告予算をさらに押し上げるチャンスということもできます。つまりAIや機械学習などの最適化技術により、これまで以上に高度なユーザー体験のパーソナライズが可能になっているのです。」
ファーストパーティデータでユーザーと広告主の関係構築を
サードパーティークッキーが終焉を迎えつつあるなかで、広告主はオンラインユーザーの興味関心を理解するための次なる方法として、プライバシー順守に準拠したファーストパーティーデータを求めています。
このような変革の中で、パブリッシャーが優位に立てるのは、ユーザーと直接的な関係を築いているからかもしれません。ユーザーの興味、サイト滞在時間、サイト訪問回数、その他の閲覧行動などのデータシグナルにより、パブリッシャーは効果的かつプライバシーに配慮した方法でユーザープロファイルを構築することができます。
またパブリッシャーは、定期購読(サブスク)、ニュースレター、イベント登録、eコマースといった様々な収益ソースからもファーストパーティーデータの収集が可能です。これにより、デモグラや興味、その他のカテゴリーに基づいてユーザーをグループ化することができるため、ブランドにとっては、データとパブリッシャーがより魅力的になっていきます。
「これらの収益ソースは、すべて強く結びついています。」とヒモフ氏。「パブリッシャーは、パーソナライズされたユーザー体験を正しく理解し、ユーザー中心のアプローチを行い、ユーザーから正しいシグナルを得た上で、オプトインされたファーストパーティデータにアクセスすることにより、より広告主が有益に活用できるように、これらの情報をパッケージ化することができるのです。」
このような事実を考慮して、パブリッシャーは広告主と協力して、さらに関連性の高いセグメントやコホートを構築しています。このプライバシーを順守したアプローチにより、広告主は類似特性や行動に基づいて、同じ考えを持つユーザーと関わり、他では得られないユーザーのインサイトを引き出すことができるのです。
「パブリッシャーは長年データサイエンスチームに投資してきましたが、それが今形になろうとしています。」と、Outbrain の企業開発・戦略パートナーシップ担当VPであるクレイグ・ヒューズは述べています。「広告主とパブリッシャーが、安全でクローズドな相互間エコシステムを通して、データセットへアクセスしそれを活用することにより、ユーザー体験とパフォーマンスを改善できるという事実こそが、目覚ましい飛躍であると言えるでしょう。」
2023年、コンテンツの多様化が広告主やパブリッシャーの成長にどう貢献するか
広告主の予算が減少傾向にある中で、ブランドはユーザーとの信頼関係を効果的に構築・維持することができるパブリッシャーに引き寄せられつつあります。
ヒューズ氏によると、この信頼はパブリッシャーが新たなエンゲージメント機会を創出し、収益源を多様化することにもつながります。ユーザーや定期購読ユーザーに対してよりパーソナライズされたサービスや体験を提供することで、パブリッシャーは異なる広告体験を提供できるようになり、これも2023年の主要な注力分野となっています。
ヒューズ氏は、「ユーザーは信頼できるコンテンツを求めており、エンゲージメントを深めるためには実に様々な方法が存在しています」と述べ、eコマース、動画、ポッドキャスト広告など、パブリッシャーの中で拡大しているチャネルについて言及しました。特に動画は、Z世代を中心にユーザーのメディア消費が加速しているため、成長と投資の呼び水となっています。
「パブリッシャーはユーザーの関心を獲得し続けること、そして、若い世代にリーチすることが必要です。これは、動画及びモバイル・ファーストのコンテンツによって実現が可能です。広告の観点から、動画広告は非常に高いパフォーマン スを発揮しています。広告主は、ROIが高い環境で、ユーザーとのエンゲージメントを深めるための有意義な方法を見つけたいと考えているのです。」とヒモフ氏は述べています。
ポッドキャストユーザーも増えており、広告主からの関心も高まっています。ヒューズによると、ポッドキャスト広告は、パブリッシャーにとって、特に、主力となる定期購読ユーザー数は多くないものの、リピーターとしてサイトを訪れる熱心なユーザーを保有している
パブリッシャーにとっては、収益ソースとして大きな可能性を秘めています。これは、ユーザーがそのパブリッシャーに、より多くのコンテンツを求めていることの表れと言えます。
ヒモフ氏は、「パブリッシャーが優れた動画やオーディオコンテンツ制作に投資し、ユーザーが注目するところに、広告主が投資するということは理にかなっている」と繰り返し述べています。
ウェブバイタルでユーザー体験を強化
パブリッシャーは、クッキーを使わないデータ運用で将来を見据える一方、ユーザー体験向上に向け、サイト上のパフォーマンスとウェブバイタルを重視しています。
「パブリッシャーにとって、優れたコンテンツをリリースするだけでは十分ではありません」とヒモフ氏は言います。「コンテンツを提供、配信する方法は、コンテンツそのものと同じくらい重要なのです。」
コアウェブバイタルの基準を満たすため、パブリッシャーはサイトの読み込み速度を速くし、ユーザーにとってもエンゲージし易い環境を作っており、結果としてページビューとコンバージョン率を向上させています。しかし、こうした基本的なことが、広告主の目標とは相反することもあります。
「広告主に依存するパブリッシャー、特に動的なコンテンツを望むパブリッシャーは、サイトの停滞を避けるために、画像や動画ファイルの軽量化にフォーカスする必要があります。広告以外のコンテンツについては、画像の最適化と圧縮によってファイルサイズを小さくすることも選択肢のひとつです。」
パブリッシャーがサイトパフォーマンスの向上と優れたオンライン体験の実現に取り組むにあたり、チームやベンダーを超えたオープンな話し合いと協力体制が重要であると、ヒモフ氏は述べています。
「パブリッシャーにとって大きなチャンスは、このユーザー中心のアプローチを念頭に置いてKPIを構築し、ユーザー体験を犠牲にすることのない方法でコンテンツを配信することです。広告主、パブリッシャー、テックベンダーは、ユーザーの期待に応えるという責任を共に担っているのです」。
*このブログは、2022年12月にOutbrain から発表された記事を意訳したものです。